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2023年5月19日 (金)

投機先を求めるカネの急膨張

世の中がサミット関連のニュースであふれるなか、株価がバブル景気後の最高値を更新だそうですね(こちら、NHK)。この記事によれば、原動力は海外の投資家だそうで、「欧米の利上げによる海外経済の減速を懸念して東京市場に資金を振り向ける海外投資家が増えている」とのこと。

海外の投資家というのは、この場合、個人ではなく、資産運用会社に資金を託された投資ファンド(という名の投機ファンド)です。これはいわゆる「カネがカネを稼ぐ」業態で、年率平均15%という恐ろしい成長を遂げています(こちらに書きました)。毎年15%ずつ獲得した「カネ」がさらに投機に回るわけですから、恐ろしいかぎりです。

この結果、何が起きているかというと、投機先を求める「カネ」の急膨張です。たとえば、世界最大の資産運用会社は1000兆円を超える資金を持ち、急膨張を続けています。1000兆円と言えば、日本政府予算の9倍、日本のGDPの2倍です。
投機ファンドも競争ですから、急膨張した「カネ」のさらなる15%増を求めて、血眼になって世界中の金融商品を回るわけです。

それで、いま欧米の利上げで相対的に日本がマシとなったら、一斉に日本に押し寄せます。日本がマシなのは、ここ20年くらいの法律改正などで、投機ファンドが儲けやすいという事情もあります。でも、欧米の利上げが終われば、ここ2か月くらいで急激に上がった株価は、また下がる可能性もあります。

もう何年も前から東証の株売買に占める外国人のファンドの割合は7割に達しています。先物になると8割とか。そこにさらに海外から押し寄せているということは、いま東証の売買はほとんど外国人なのでは。

東証の1年間の株の売買総額は最近700兆円を超えます。このうち新規発行の株は1%にも満たず、ほぼ全ての株の売買は、既発行の株式が売り手から買い手に渡るだけなので、株の転売と言えます。つまり、外国人の転売ヤーによる日本株の転売の総額が、実業であるGDP総額を上回っているということ。

そして、日本の株が海外の手に渡ると、株主資本主義下の日本企業が多いなか、企業利益が海外に流れることになり、これは日本の所得の流出につながります。

日本の庶民が今年、消費して企業に渡った庶民のお金は、全額が給料などとして庶民に戻ってこないと、庶民は来年の消費ができません。日本の株が海外の手に渡ると、この持続可能な循環がどんどん細って行き、持続不可能になってしまいます。株価が上がったと喜んでなどいられないはずなんです。。

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